あとがき

 図録の作成にあたっては、展示図録であるとともに、里見氏についての資料集的性格も具備させたため、返却して展示していない資料をも図版として掲載した。

 また、展示において複製を使用している場合も、図版においては原資料を掲載させていただいた。

 展示及び図録の作成にあたって、ご協力いただいた方々に心から感謝いたします。

常設展示協力者

この覧への掲載は、図版中に紹介できなかった方々に限らせてただきました。

会田進 小金井靖 滝沢宏行 早川正司 山口肇
石井一夫 柴田光彦 玉口時雄 林美一 山田風太郎
石井喜代治 新藤れい子 田山隆太 福井久治郎 山本耀也
石井昌次 鈴木鶴二 辻村ジュサブロー 藤沢晴夫 若林清
大野貫一 鈴木重三 日塔和彦 松本久 若林リウ
金子浩昌 高橋義隆 橋口定志 宮田雅之 渡辺公夫
石堂諏訪神社(丸山町) 檀原市教育委員会 安房博物館 芝山はにわ博物館
下立松原神社(白浜町) 宮内庁 石橋美術館 総南博物館
神護寺(京都市) 倉吉市教育委員会 市立市川歴史博物館 千葉県文化財センター
深光寺(文京区) 白浜町青木区 井戸尻考古館 千葉市立加曽利貝塚博物館
青雲寺(荒川区) 館山市教育放送センター 上総博物館 天理大学天理図書館
手力雄神社(館山市) 館山市図書館 神奈川県立博物館 東京大学総合図書館
東大寺(奈良市) 川崎市立日本民家園 徳川黎明会
御嶽神社(青梅市) 千葉県企画部広報県民課 君津市立久留里城址資料館 徳島県博物館
千葉県教育委員会文化課 京都国立博物館 奈良県立橿原考古研究所
朝日新聞社 文化庁 金鈴塚遺物保存館 白合会
大澤古美術店 慶応義塾大学福沢研究センター 兵庫県立歴史博物館
学習研究所 交通博物館 福岡市美術館
集英社 神戸市立博物館 房総風土記の丘
新人物往来社 国立劇場 前田育徳会尊経閣文庫
中央公論社 国立歴史民俗博物館 早稲田大学演劇博物館
日本放送協会
渡辺木版美術画舗

八犬伝のあらすじ

 戦国の世、里見義実は滝田城に籠城していたが、敵将安西景連の首をとった愛犬八房の働きにより落城をまぬがれた。そして約束により八房は伏姫とともに富山の洞穴に住みついた。

 義実の家来、金碗大輔は富山に入り八房を射殺、同時にその場で自害した伏姫の首の数珠、“仁”“義”“礼”“智”“忠”“信”“孝”“悌”の8個の水晶玉は八方に飛び去った。

 さて、十数年の後、孝の玉を持つ犬塚信乃は、武蔵国大塚に育ち長じて古河城の芳流閣上で同士と知らぬままに信の玉をもつ犬飼現八と死闘をくりひろげ、二人共芳流閣上から利根川の小舟上に落下、そのまま行徳の浜に漂着しそこで悌の玉を持つ力士犬田小文吾と知り合う。小文吾は後に悪漢馬加大紀の対牛楼において女装の田楽師智の玉の所持者犬坂毛野とめぐりあい毛野も犬士の一員になる。

 義の玉を持つ犬川壮助は犬塚信乃の義兄弟であったが、丸塚山にて信乃の許嫁者(いいなずけ)、浜路の兄、忠の玉をもつ犬山道節と刃を交す。礼の玉をもつ犬村大角は下野国の庚申山の麓に育ったが父に化けた怪猫のために妻を死に至らしめてしまい、現八らと諸国を巡る旅に出る。

 その後、富山で伏姫の神霊に育てられていた最後の犬士仁の玉の犬江親兵衛が登場し、八犬士が力を合わせて主家里見家を興隆に導く。やがて八犬士は揃ってゆかりの霊地富山にこもり、仙人となって姿を消した。

馬琴の周辺とその後の八犬伝

 馬琴は48歳の年に「南総里見八犬伝」を書きはじめ、完成した時には75歳になっていました。そのうえ八犬伝執筆の末期には盲目となってしまい、早逝した一子宗伯の未亡人路(みち)に代筆させる状態でした。

 人づきあいが悪く、家庭的にも不幸が続く中での苦闘の著述である「八犬伝」は、その死後も最長編の伝奇小説として読みつがれ、現代なお愛読者が絶えません。

八犬伝の企画は、初輯の出る6年も前、文化5年から馬琴の著作の中でさかんに予告されました。また一時期は、「七犬士」の予告が出たこともあります。『鳥籠山鸚鵡助剣』・林美一氏蔵

八犬伝9輯巻46の草稿です。右が盲目の馬琴の文字。左は、天保12年つまり八犬伝完成の前年から代筆をはじめたお路の文字です。早稲田大学図書館蔵

八犬伝版本 館蔵

昭和57年8月30日から朝日新聞の夕刊小説として作家山田風太郎の「八犬伝」が359回にわたって連載され人気を博しました。
押絵は流麗な刀勢で世界に知られる、切絵画家宮田雅之画伯によるものです。
上・切絵 顔見世八犬士 宮田雅之画伯作 館蔵
中・「八犬伝」原稿 山田風太郎氏 寄贈
下・朝日新聞夕刊

八犬伝ブーム

 八犬伝が歌舞伎の上演などによって広く大衆化されるとともに、庶民生活の中にもいろいろな形で八犬伝が入り込んでいきました。凧や双六など遊びの世界だけでなく日常生活の道具にも好んで用いられました。

観亭流 館蔵

錦絵 館蔵

八犬伝は刊行直後歌舞伎として上演され、さらに人気役者の錦絵が地方へもたらされ八犬伝の人気を更にもりあげました。

絵番付 館蔵

今なお江戸凧の伝統をまもっている東京上野の橋本禎三さんに手になる八犬伝の大凧。

錦絵「新酒之入船」 館蔵
ブームにのって伊丹では「八犬伝」という清酒が発売されました。その酒の広告が、「仮名読八犬伝」に掲載されています。

立絵 川崎雅是氏蔵

明治の末から昭和初期まで浅草を中心に行なわれていたもので紙芝居の前身です。自転車にのせて子供に見せたり、時には座敷にもよばれました。

八犬伝の誕生

 馬琴は八犬伝の執筆にあたって、その頃、広く出まわっていた『合類大節用集』や里見氏関係の「軍記物」からヒントを得て、イメージとして中国の伝奇小説『水滸伝』を頭に描き、更に各地の地誌や『房総志料』などを参考にしてこの長編を書きあげました。

 『南総里見八犬伝』が評判をよぶと、その内容をまねた絵双紙が多数出版されました。絵双紙はカラフルな表紙で各ページには絵があり、更に全部ひらがなで書かれているなど分かりやすかったので、むしろ馬琴の八犬伝より庶民に親しまれました。

合類大節用集 館蔵

里見九代軍記 菊井堯晴氏蔵

房総志料 船橋市西図書館蔵
  (無断転載禁止)

八犬伝版本

八犬伝犬の草紙

仮名読八犬伝

八犬伝後日譚

今様八犬伝 八犬伝の絵双紙各種

南総里見八犬伝

 「南総里見八犬伝」は、安房国を物語の発端とし、室町時代末期の関東地方から信州・甲州・越後さらに京都までを舞台とする物語で登場人物も400人を越える全98巻106冊の日本最大級の長編小説です。

 全編、勧善懲悪主義でつらぬかれ、波乱に富んだ局面が展開してゆきます。

馬琴の肖像 林美一氏蔵

南総里見八犬伝 明治大学図書館蔵

分館展示室

 博物館の建っている城山は、戦国時代の房総の雄、里見氏最後の居城跡です。

 分館は、城山の頂上に建っており天正期の天守閣を模した建物になっています。分館には、江戸時代の後期に曲亭(滝沢)馬琴が書いた長編伝奇小説「南総里見八犬伝」に関する資料が展示してあります。

彫刻の径(みち)

 博物館へのアプローチは石畳と四季おりおりの草木と芝生のあやなす全長120mの散歩道となっています。

 ここには、菊池一雄・柳原義達など現代の代表的な彫刻家の作品9点が置かれており、「彫刻の径(みち)」となっています。

飛天 菊池一雄

光と風と夢 下川昭宣 酒井良 青木三四郎

風の肖像 中島幹夫

道標・鴉 柳原義達

慈・愛・訓の像 一色邦彦

こだま 山本正道

水着の女 伊藤傀

動 大国丈夫

地を這うものども 山崎英五