協力者一覧

 今回の企画展開催にあたり、多くの皆様よりご指導、ご協力をいただきました。ここに記して感謝の意を表します。

秋山喜美子  秋山万次  東清  安西亮範  池田和弘  石川良泰  稲垣祥三  尾谷茂  尾山十郎  加藤理雄  金木幹人  川名芳男  斎藤任  佐藤美知男  佐野邦雄  鈴木庸一  高野貞亮  高橋嘉一  長井叡之介  畠山市治郎  服部勉  早川快太  福原豊栄  福原和  堀田正久  堀口角三  町田達彦  矢矧幸一郎  山恵子  山崎康平  山田俊諒  山田利弥  山本光正  若本朋子
交通博物館  国立国会図書館  館山市下真倉日枝神社  館山市商工観光課  館山市図書館  館山市那古寺  千葉県立中央図書館  東海汽船株式会社  富浦町常光寺  成田山仏教図書館  船橋市西図書館  三芳村宝珠院

参考文献

『旅行ノススメ』白幡洋三郎著中央公論社1996年
『観光読本』日本交通公社調査部編東洋経済新報社1994年
『観光事業の話』大林正二著日本経済新聞社1962年
『江戸の旅人たち』深井甚三著吉川弘文館1997年
『旅風俗Ⅰ 総合編』雄山閣出版1989年
『千葉県史 大正昭和編』千葉県1967年
『千葉百年』村松英男編毎日新聞社1968年
『千葉県教育雑誌第171号』「海水浴と千葉」川崎愛渓千葉教育会1906年
『風俗画報第346号』「暑中休暇について」山下重民東陽堂1906年
『地理学評論14‐1・14‐8,9』
 「房総の避暑地竝に海水浴場地帯」尾崎乕四郎
1938年
『風景7‐5』「休養・観光地としての房総」尾崎乕四郎1940年
『風景7‐6』「風景地の検討其二十一 房総半島」1940年
『千葉県新誌』尾崎乕四郎日本書院1952年
『千葉県史研究第2号』
 「首都圏における千葉県観光の地位と地域的特性」山崎順次
千葉県1994年
「乍恐返答書ヲ以申上候御事」<那古寺文書>1671年
「押送り船議定連印」<船形正木家文書>1859年
『正木貞蔵小伝』正木清一郎著1917年
『大原幽学全集』「口まめ草」千葉県教育会編1943年
『なつかしの風景Ⅰ 海と海水浴場』大磯町郷土資料館1991年
『図書館だより第17号』「房州漫遊の時代と館山」岡田晃司館山市図書館1996年
『楽土之房州2-4 房州案内』楽土社1923年
『斎藤光雲生誕110年展』斎藤光雲生誕110年展
実行委員会
1991年
『ちばの鉄道一世紀』白土貞夫著崙書房1996年
『房総の乗合自動車』佐藤信之著崙書房1988年
『館山八幡海岸詠帰寮』一高水泳部
詠帰寮跡記念碑保存会
1978年
『新版館山市文学散歩』利田正男著BOOKS松田屋1972年
『東海汽船80年のあゆみ』東海汽船株式会社1970年
『愛する子供たちに素敵な海をおくろう』館山青年会議所1991年
『館山市広報』第1号~館山市1951年~

展示資料一覧

【1】旅から旅行へ

1. 旅装束一式 交通博物館
2. 改正日本道中行程記(天明) 交通博物館
3. 諸国道中独歩行(文政10年) 交通博物館
4. 大日本道中行程細見記(天保8年) 交通博物館
5. 大日本早引細見絵図(文久3年) 交通博物館
6. 旅行用心集(文化7年) 交通博物館
7. 小湊参詣金草鞋(文政10年頃) 当館
8. 旅日記(天保7年)<根岸文書> 当館
9. 女手形(慶応4年)<根岸文書> 当館
10. パナマ帽・旅行用バスケット・トランク 当館
11. 着物 三芳村福原和
12. 下駄・帯 館山市佐野邦雄
13. トランク 千葉市山本光正
14. 汽車汽船旅行案内(明治27年) 千葉市山本光正
15. 最新鉄道地図(大正14年) 当館

【2】鏡ヶ浦の景観

16. 鏡ヶ浦図(江戸末期) 当館
17. 鏡ヶ浦図絵馬(明治9年) 館山市那古寺
18. 鏡ヶ浦図絵馬(大正4年) 館山市日枝神社
19. 和泉式部小式部霊塔境内ヨリ鏡ヶ浦眺望之図(明治34年) 館山市加藤理雄
20. 房州雑詠(嘉永元年) 当館
21. 那古浦記(文化14年) 富浦町常光寺
22. 木村屋旅館の松図(大正6年) 館山市山崎康平
23. 池田弘斎画「大賀ビリドの鼻」「西岬の海岸」 館山市矢矧幸一郎
24. 初学一(安政3年)・拙詩<根岸文書> 当館
25. 甲午春館山紀行(明治27年) 館山市堀口角三
26. 房陽奇聞(明治22年) 船橋市西図書館
27. 房州鏡ヶ浦八景(明治31年) 船橋市西図書館
28. 避暑避寒房州案内(明治37年) 成田山仏教図書館
29. 房州八景(明治23年頃) 館山市山田利弥
30. 安房の伝説(大正6年) 館山市図書館

【3】様変わりする来房者

31. 結願額(元禄16年) 館山市那古寺
32. 押送舟図(文政4年) 当館
33. 大槻盤溪七言絶句 当館
34. 梁川星巌・小野湖山・大沼枕山等書 当館
35. 臥猪庵記(天保2年)ほか 富浦町常光寺
36. 漂客奇勝図(寛政2年) 当館
37. 南遊紀行(嘉永5年) 当館
38. 恋ざめ(明治41年) 当館
39. 房州鏡浦略図(明治22年) 当館
40. 風俗画報236号(明治34年) 千葉市山本光正
41. 汽船船客壱人券(明治35年) 館山市尾谷茂
42. 北条桟橋と汽船写真(大正頃) 館山市早川快太
43. 万里小路伯爵北条海岸別荘写真(明治38,9年)
堀田伯爵北条海岸別荘写真(大正8年)
佐倉市堀田正久
44. 房州漫遊(明治22年) 館山市図書館
45. 日本名勝図会「房州鏡ヶ浦」(明治30年) 当館
46. 房州避暑案内(明治25年) 国立国会図書館
47. 館山湾海水浴場ほか絵葉書 館山市金木幹人
48. 青山学院中等部水泳部(昭和2年)ほか絵葉書 館山市川名芳男
49. 千葉県教育雑誌171号(明治39年) 千葉県立中央図書館
50. メガホン 館山市尾山十郎
51. 日本博覧図(明治29年) 当館
52. 山田屋旅館宿帳(大正~昭和) 館山市尾山十郎
53. 山田屋旅館料理広告(明治)・鬼瓦 館山市尾山十郎
54. 増訂六版安房漫遊案内(大正7年) 千葉市山本光正
55. 房州みやげ(明治45年) 千葉県立中央図書館
56. 山水行脚(明治44年) 成田山仏教図書館

【4】観光都市館山の成立

57. 房州鏡ヶ浦全景絵図(大正4年) 館山市図書館
58. 遊覧汽船桜丸絵葉書 館山市尾谷茂
59. 北条桟橋ほか絵葉書 館山市金木幹人
60. 桟橋会社ほか絵葉書 館山市川名芳男
61. 五訂安房漫遊案内(大正4年) 千葉県立中央図書館
62. 房州見物(大正6年) 船橋市西図書館
63. 実測安房郡図・房州案内 当館
64. 四訂安房漫遊案内(大正3年) 館山市尾谷茂
65. 房州人形・団扇絵版画 館山市稲垣祥三
66. 絵皿「汐見臥龍松」 当館
67. ヨット「三太号」 当館
68. 版画「郷土玩具北条の神輿」 当館
69. 高の島海水浴場ほか写真・絵葉書 当館
70. 駅前旅客案内所絵葉書 館山市稲垣祥三
71. 私の宿屋観(大正10年) 千葉市山本光正
72. 宿屋と女中(大正12年) 千葉市山本光正
73. 北条線時刻表(大正15年) 当館
74. 鉄道旅行案内(大正11年) 千葉市山本光正
75. 大日本旅行地図(大正16年) 千葉市山本光正
76. 東京付近パノラマ地図(大正11年) 千葉市山本光正
77. 海岸ホテル栞 館山市矢矧幸一郎
78. 海岸ホテルほか絵葉書 館山市長井叡之介
79. 鳥瞰式遊覧房州案内図(大正12年) 千葉市山本光正
80. 夏涼冬暖之楽土房州案内(昭和3年) 当館
81. 楽土之房州夏季号「夏の房州」(大正13年) 当館
82. 館山桟橋写真 館山市川名芳男
83. 北条海岸通地裂絵葉書 館山市山崎康平
84. 房州鏡ヶ浦案内(大正13年) 船橋市西図書館
85. 館山北条市街図・館山北条案内(大正11年) 当館
86. 復興の房州(大正13年) 千葉県立中央図書館
87. 震災踏査避暑地旅行案内(大正13年) 千葉市山本光正
88. 房州めぐり(大正14年) 当館
89. 日本八景選定顛末報告(昭和3年) 館山市金木幹人
90. 秋の房総・海の房総ほか栞 館山市金木幹人
91. 健康の地館山北条ほか栞 当館
92. 房総名勝案内(昭和4年) 船橋市西図書館
93. 房総の観光(昭和6年) 千葉県立中央図書館
94. 館山北条町優良商店案内商売繁栄双六(昭和9年) 館山市高橋嘉一
95. 鏡ヶ浦煙火大会プログラム(昭和3年) 当館
96. 夏季漫才大会特別優待券 館山市金木幹人
97. 房州風景紹介展覧会写真(昭和9年) 館山市斎藤任
98. 安房国札観音絵葉書 館山市尾谷茂
99. 観光創刊号(昭和12年) 三芳村宝珠院
100. 観光の房州と観音巡礼案内(昭和12年) 船橋市西図書館
101. 安房合同自動車沿線案内 館山市金木幹人
102. 館山市北条町町勢要覧・那古町町勢要覧・館山市市勢要覧 当館
103. 橘丸船体模型・舵輪・号鐘・船名板 東海汽船株式会社
104. 東京日々新聞(昭和13年) 当館

【5】安房地方の旅行案内書

105. 安房地誌略(明治10年)・名家紀行総水房山(大正3年)・房総静養地案内(大正7年)・近郊探勝其日帰りと一夜泊り(大正11年)・内房総(昭和2年)・俺が房総(昭和4年・6年)・東京から一、二泊の気まゝな旅(昭和7年)・房総の避暑避寒地(昭和10年) 成田山仏教図書館
106. 安房名勝地誌(明治30年)・房総遊覧案内(大正3年)・安房の名所(大正7年)・房総案内鉄路に沿ふて(大正10年)・夏の房総(大正14年)・房州遊覧案内図(大正15年)・史談と伝説の房総案内(昭和3年)・房総一周(昭和4年)・房総の旅(昭和8年)・房総の観光(昭和10年) 船橋市西図書館
107. 日本名勝地誌東海道之部上(明治34年)・文壇人の観たる房総(昭和8年) 千葉県立中央図書館
108. 千葉県地誌略巻下(明治13年)・日用百科全書旅行案内(明治29年)・東北西南探涼案内(明治34年)・全国漫遊最新名勝案内(明治35年)・旅行の友第13号(明治40年)・新選名勝地誌東海道東部(明治43年)・東京の近郊(大正5年)・一日の行楽(大正7年)・探勝行脚写真機を携へて(大正10年)・現代漫画大観日本巡り(昭和3年)・関東探勝記(昭和3年)・日本案内記関東篇(昭和5年)・東日本新風景(昭和7年)・房総と水郷(昭和9年)・房総・水郷・常磐地方(昭和12年)・海へ房総へ 千葉市山本光正
109. 房総之半島(明治40年) 館山市尾谷茂
110. 療養遊覧新海浜案内(昭和2年)・鏡ヶ浦(昭和3年)・館山北条の史績名勝(昭和10年) 当館
111. 安房名所絵葉書 館山市秋山喜美子

【6】戦後の観光

112. 観光館山(昭和25年) 館山市川名芳男
113. 千葉県の観光と産業 当館
114. 観光と産業(昭和34年) 成田山仏教図書館
115. 南安房県立公園しおり 当館
116. 房総観光案内(昭和25年)
117. 鉄道旅行案内関東篇(昭和25年) 千葉市山本光正
118. 館山市誌(昭和31年) 当館
119. 南房総国定公園鳥瞰図 当館
120. 日東バス沿線図 館山市山恵子
121. 房州名所めぐり(昭和34年) 当館
122. 斎藤光雲画「七夕祭り」「鏡ヶ浦の夕景」 館山市斎藤任
123. 斎藤光雲画「那古観音」 三芳村山田俊諒
124. 版画「房総風物聚3安房」 当館
125. 館山市観光ポスター 館山市商工観光課

敬称略

【6】戦後の観光

 戦後の復興にも観光が大きな役割を担っていたようです。昭和22年(1947)に館山市観光協会が市民投票で鏡ケ浦を中心とした館山三景二勝を選定し、新たな観光宣伝を始めます。翌23年には議会の常任委員会に観光委員会が設けられ、館山市でも商工関係の担当課で観光施策を所管して、館山銀座振興会を中心に盛大な七夕祭りの実施や関東チンドンヤ大会など、毎年さまざまな夏の観光行事を繰り広げるようになっていきました。昭和26年には富浦から館山・白浜・千倉の地域が南安房県立公園に指定され、28年になると国鉄で臨時列車汐風号が初運転されて、観光客のための交通も復活していきます。昭和26年度の観光客数は戦前の最高だった昭和11年頃の3割から4割でしたが、弁当持ちの日帰り客は戦前をしのいだといいます。

 昭和29年に周辺6村と合併して現在の館山市になると、市役所に専任の観光事務局をおいて事務にあたらせるようになります。そしてその翌年に当選した田村利男市長は、房総半島の南部海岸を国定公園に指定するための期成会を結成し、「観光都市館山」の実現を標榜して街づくりをすすめていきました。昭和33年8月に国定公園の指定をうけると、毎夏70万人の人々が訪れるようになり、道路や宿泊施設の整備、平砂浦や城山公園などの観光センター地域の開発整備や都市美化などが、日本全体の国土開発の流れにのって進められていきました。そして昭和40年代になって、海水浴中心の夏の休養型観光から、花摘みやいちご狩りなどの四季を通じての旅行型観光地となるための基盤整備が進められるようになり、昭和50年代に花摘み園やイチゴ園がオープンしていったのです。

118.観光の館山(『館山市誌』挿絵 昭和31年)
118.観光の館山(『館山市誌』挿絵 昭和31年)
119.南房総国定公園鳥瞰図
119.南房総国定公園鳥瞰図
122.斎藤光雲画「七夕祭り」

122.斎藤光雲画「七夕祭り」

122.同「鏡ケ浦の夕景」

122.同「鏡ケ浦の夕景」

123.同「那古観音」

123.同「那古観音」

 安房地方の旅行案内書一覧

発行年 署名 著者・編者/出版社
明治10年 安房地誌略 川井景一/東京・関根嘉兵衛
明治13年 千葉県地誌略 東京・山田吉見/三省堂
明治16年 千葉県地誌略 千葉師範学校
明治16年 大日本国誌 安房 内務省地理局
明治22年 房州鏡浦略図 東京・植木音太郎
明治25年 房州避暑案内 北条町・山崎房吉(木村屋旅館)
明治30年 安房名勝地誌 一名安房名勝案内 館野村・鳥海金隄/北条町・鳥海書店
明治31年 房州鏡ヶ浦八景 北条町・伊達房次郎
明治34年 日本名勝地誌 東海道之部 12版 野崎左文/東京・博文館
明治34年 東西南北探涼案内「房州の山水」 三木愛花、片山友彦/東京・博文館
明治35年 全国漫遊最新名勝案内 津田房之助/東京・松栄堂書店
明治35年 千葉県安房国全図・房州旅行案内 八束村・石井錬治
明治37年 避暑避寒房州案内 文屋菱花ほか/北条町・宮沢書店ほか
明治40年 旅行の友13 安房之歌 小出竹樹/東京・商利舎
明治40年 房総之半島 栗岩英治/千葉町・多田屋支店
明治41年 安房志 齊藤夏之助/千葉町・多田屋支店
明治43年 新選名勝地誌 東海道東部 田山花袋/東京・博文館
明治45年 房州みやげ 鷲見剛亮/鴨川町・磯谷書店
大正3年 房総みやげ 千葉県医師会
大正3年 房総遊覧案内 千葉町・吉川国三郎/多田屋書店
大正3年 四訂増補安房漫遊案内 北条町・松田屋兄弟書房
大正4年 房州鏡ヶ浦全景絵図 北条町・音尾松蔵/北条町・安房倶楽部
大正5年 東京の近郊 田山花袋/東京・実業之日本社
大正6年 房州見物 鴨川町・磯谷鴨海/千葉町・多田屋書店
大正7年 安房の名所 大山村・竹沢桂月/船形町・福原書店
大正7年 房総静養地案内 小山田清/東京・東洋旅行案内社
大正7年 一日の行楽「房州行き」 田山花袋/東京・博文館
大正8年 実測安房全図・房州案内 千葉町・由良保三/由良開進堂
大正10年 房総案内鉄路に沿ふて 両国運輸事務所・斎藤長吉/東洋書籍出版協会
大正10年 鉄道旅行案内 鉄道旅行案内編纂所/東京・白羊社書店
大正10年 鉄道旅行案内 鉄道省/東京・博文館
大正11年 近郊探勝其日帰りと一夜泊り 池田紫雲/東京・京屋書房
大正11年 東京近郊めぐり 河井醉茗/東京・博文館
大正11年 北条館山市街図・北条館山案内 千葉市・由良保三/千葉石版印刷所
大正12年 房州鳥瞰式遊覧案内図 北条町・本堂龍雄/北条町・楽土社
大正12年 楽土之房州 北条町・中村弥二郎/北条町・楽土社
大正13年 房州鏡が浦案内 北条町・長田清/北条商業倶楽部
大正13年 震災踏査避暑地旅行案内 東京・野球界社
大正13年 復興の房州 白鳥秋畝/千葉市・千葉石版印刷所
大正14年 夏の房総 千葉運輸事務所・西村三樹/鉄道公論社
大正14年 房州めぐり 北条町・安房振興会
大正14年 遊覧房総 東京・旅の友社
大正15年 遊覧房州へ 北条町商工団
大正15年 房州案内 北条町・安房振興会
大正15年 房州遊覧案内図 帝都工務所
大正15年 管内駅勢要覧 千葉運輸事務所
昭和2年 療養遊覧新海浜案内 松川二郎/東京・三進堂書店
昭和2年 内房総 東京・日本名勝研究会
昭和2年 夏涼冬暖之楽土房州案内 北条町・中村弥二郎/東京・普及社
昭和3年 鏡ヶ浦 房州遊覧の栞 北条町商工団
昭和3年 実測安房全図・房州案内 13版 千葉市・由良保三/千葉石版印刷所
昭和3年 史談と伝説の房総案内 大塚貞蔵/東京・日本旅行協会
昭和3年 現代漫画大観第7編「日本巡り」 田口鏡次郎/東京・日本美術社
昭和4年 房総名勝案内 笹原紫水/東京・春江堂
昭和4年 房総一周 東京鉄道局
昭和4年 房総のしおり 千葉車掌所
昭和4年 俺が房総 一宮町・水島芳静/日本遊覧案内刊行会
昭和5年 日本案内記 関東篇 鉄道省/東京・博文館
昭和6年 房総の観光 千葉市・由良保三/千葉観光社
昭和7年 東京から一、二泊の気まゝな旅 水島芳静/東京・日本遊覧案内刊行会
昭和8年 房総の旅 千葉市・多田勇/房総新聞社
昭和8年 文壇人の観たる房総 副会長・岡尊信/房総観光協会
昭和9年 房総と水郷 鉄道省/東京・実業之日本社
昭和10年 館山北条の史績名勝 大野太平/館山北条町観光協会
昭和10年 房総の観光 佐藤俊三/千葉市・房総新聞社出版部
昭和12年 房総・水郷・常磐地方 ジャパン・ツーリスト・ビューロー
昭和12年 観光の房州と観音巡礼案内 北条町・曽根虎之助

【5】安房地方の旅行案内書

 安房地方を紹介する戦前の旅行案内書は数多く出版されていました。ここには目に触れることのできたものだけですが、一覧にして紹介してみました。こうした案内書をみただけでも、館山が観光地として移り変わっていく様子を読み取ることができます。

 明治時代の案内書は、まず土地の名所旧跡を紹介することからはじまりました。那古寺や崖観音・小網寺・鶴谷八幡神社などの由緒ある寺社や、里見氏ゆかりの、城跡、鏡ケ浦や大房岬や洲崎などの景勝地、塩見の臥龍松などの名勝といった見所を紹介するもので、明治初期にまとめられた他誌の実績をふまえたものでした。観光の原点は風景を観ることだといいますが、海水浴を目的に鏡ケ浦を訪れる旅行者も、良い景観や知的好奇心を満足させる由緒をもつ旧跡に関心をよせ、また郷土を愛する人々もそれを誇らしく紹介したわけです。そして土産としての名所絵葉書も大量につくられていました。

 明治の末から大正時代になると、旅行者の増加にともなって、交通機関や宿泊施設の紹介はもちろん、旅行者の休養のための遊び方の紹介や、土産・観光設備の紹介など多岐にわたるようになっていき、名所紹介も観光資源としての見所紹介的な記述になっていきます。絵葉書も都人士が喜びそうな田舎らしさを紹介するものがでてきます。旅行者の便利を考慮するとともに、営業の要素が前面にでてくるわけです。

 また大正時代までは、地元書店などが安房地方の範囲で案内書を作るケースが多くみられましたが、鉄道が整備され、安房北条駅まで路線網が延びてくると、安房地方の紹介も鉄道の路線案内形式のものになり、千葉県内をエリアにしたさらに広域の案内書になっていきます。地元からの出版は減っていきますが、それに代わって、簡便な栞が各町や個別の旅館、交通機関などから発行されるようになっていきました。

 こうした地元からの案内書にくわえ、東京などの出版社が旅行作家に書かせた旅行記ふうの案内書も数多く出版されています。ちなみに昭和4年の『俺が房総』の著者水島芳静は千歳村(現千倉町)出身の旅行記者で、日本遊覧案内刊行会を創設しています。

63.房州旅行案内(明治35年)
63.房州旅行案内(明治35年)
28.避暑避寒房州案内(明治37年)

28.避暑避寒房州案内(明治37年)
成田山仏教図書館蔵

106.安房名勝地誌(明治30年)

106.安房名勝地誌(明治30年)
     船橋市西図書館(無断転載禁止)

108.新撰名勝地誌(明治43年)

108.新撰名勝地誌(明治43年)

108.房総・水郷・常磐地方(昭和12年)

108.房総・水郷・常磐地方(昭和12年)

105.俺が房総(昭和4年、6年)

105.俺が房総(昭和4年、6年)
   成田山仏教図書館蔵

105.其の日帰りと一夜泊り

105.其の日帰りと一夜泊り
   成田山仏教図書館蔵

93.房総の観光(昭和6年)

93.房総の観光(昭和6年)

105.名家紀行総水房山

105.名家紀行総水房山
   成田山仏教図書館蔵

  戦争のなかの観光

 一方、昭和になると戦争の影もちらつきはじめていました。大正15年に内房全域が東京湾要塞地帯に組み込まれたため、写真撮影や風景の模写などが禁止され、旅行者と憲兵・警察のトラブルもおこりがちになります。この頃に発行された絵はがきには、すべて要塞司令部の許可をうけたことが印刷されていますが、昭和12年に出版された『観光の房州と観音巡礼案内』には1ページを割いて「我等の要塞我等で守る 写真うつすな写生をするな 写真機没収刑罰うける 我等の要塞我等が護る」の注意書きが掲載されていました。

 昭和12年7月に日中戦争がはじまると、徐々に旅行客も減っていきます。しかし、水泳鍛錬と称して東京方面の小学校・中学校の団体はしばらくの間は海水浴に訪れていました。またこの頃になると、房州の冬の花卉栽培が観光資源として注目されるようになってきていました。日中戦争の影響で中止されたものの、冬の草花列車が企画されたといいます。冬の休養地としての将来性も期待されるようになってきていたわけですが、昭和16年暮れに太平洋戦争がはじまると、戦争遂行にそぐわない遊びとしての旅行は抑制されていきました。それでも館山市では昭和17年の予算で1210円の海水浴場費が計上されていて、しかも150円の予算が年度途中で追加されていますので、健康報国の名のもとに訪れる人々がいたことがわかります。しかし戦局が悪化していく昭和18年にはこうした予算化も見送られたようで、観光地館山の発展はいよいよ中断することになりました。

104.東京日々新聞房総版(昭和13年7月23日)
104.東京日々新聞房総版(昭和13年7月23日)
90.東京湾汽船の栞

90.東京湾汽船の栞

69.北条海水浴場絵はがき

69.北条海水浴場絵はがき
(大房岬、船形山などが消されている)

  観光対策

 鏡ケ浦周辺の町村も主体的に観光対策に乗り出し、大正末期にあった旅行上の問題を克服していくことになります。そのため町の予算のなかにも対策費としての海水浴場費が盛り込まれるようになり、館山北条町では昭和9年が1103円、同14年が1432円で歳費の約1%、那古町では昭和11年に279円で歳費の約0.5%が当てられていました。また館山北条町では昭和9年に町営の宿泊施設「渚の家」が鉱泉旅館として北条海岸に開設され、鉄道省とタイアップした宣伝で効果をあげていました。

 旅行客に対する事業も大々的になってゆきます。震災以後、夏の海開きにはじまるさまざまな催物が行われ、昭和2年には北条町商工団による鏡ケ浦花火競技大会も始まっていましたが、こうした旅行客に対する設備やサービスが主体だった観光対策から、来遊を促すための振興策も打ち出されるようになっていきました。明治時代にも「鏡が浦の驟雨」「地理教育安房の歌」などの唱歌がつくられていましたが、「房州よいとこ」や「夏は来やんせ」に代表されるPRのためのお国自慢的な民謡が製作されたり、観光地の鳥瞰図を入れたコンパクトな遊覧の栞が増えてくるのもこの頃です。昭和9年には、斎藤光雲を中心とする安房美術会が、東京日本橋の白木屋百貨店で「房州風景紹介展覧会」を開催して、房州の自然を紹介するといったイベントもおこなわれました。また昭和12年の安房国礼三十四観音霊場の大開帳にあわせて、団体客をよびよせるための巡礼地としての宣伝も大々的に行われ、横須賀の観光社ではツアー客の募集が行われています。

 このツアーは大型自動車を利用した二泊三日の参詣旅行でしたが、安房合同自動車株式会社などの路線乗合自動車を経営する会社で大型自動車を準備して、こうした団体に対応していました。狭い悪路ながらも安房郡内を車が走り回れるほど、郡内のバス路線も充実していたわけです。この頃の房州方面への交通は、夏になると鉄道では毎日数本の臨時列車が用意されるほどで、汽船も東京との夏季直通便が明治時代から運航していましたが、昭和10年には新造の大型客船の橘丸が就航し、鏡ケ浦の海水浴場はかなり混雑していたようです。戦前で、一夏の房総の滞在避暑客数の最大は昭和11年の延三百九万人だといいます。このときの館山北条町への入り込みが二十万人、那古町・船形町へは合計で十万人でした。

60.北条海岸の町営渚の家

60.北条海岸の町営渚の家

82.桟橋に着いた菊丸(右)と旅行客

82.桟橋に着いた菊丸(右)と旅行客

94.館山北条町優良商店案内商売繁栄双六(昭和9年)
94.館山北条町優良商店案内商売繁栄双六(昭和9年)
95.鏡ケ浦煙火大会プログラム(昭和3年・5年)

95.鏡ケ浦煙火大会プログラム(昭和3年・5年)

96.夏期漫才大会特別優待券

96.夏期漫才大会特別優待券

90.海水浴の栞
90.海水浴の栞
59.「房州よいとこ」絵はがき
59.「房州よいとこ」絵はがき
97.安房美術会主催「房州風景紹介展覧会」<日本橋白木屋>(昭和9年)
97.安房美術会主催「房州風景紹介展覧会」<日本橋白木屋>(昭和9年)
98.安房国礼観音絵はがき

98.安房国礼観音絵はがき

99.安房国礼観音参詣募集広告(『観光』創刊号 昭和12年)

99.安房国礼観音参詣募集広告(『観光』創刊号 昭和12年)

100.観光の房州と観音巡礼案内(昭和12年)

100.観光の房州と観音巡礼案内(昭和12年)
       船橋市西図書館蔵(無断転載禁止)

日東交通の大型自動車(バス)

日東交通の大型自動車(バス)

101.安房合同自動車沿線案内(昭和4年)
101.安房合同自動車沿線案内(昭和4年)
安房北条駅前の乗合自動車(昭和初期)

安房北条駅前の乗合自動車(昭和初期)

103.橘丸号鐘

103.橘丸号鐘
     東海汽船株式会社蔵

103.橘丸船名板

103.橘丸船名板
     東海汽船株式会社蔵

103.橘丸舵輪

103.橘丸舵輪
     東海汽船株式会社蔵

82.橘丸(昭和10年新造船)
82.橘丸(昭和10年新造船)

  観光地の自覚

 ところで、観光という言葉は、中国の『易経』にある「観国之光」(国の光を観る)が語源で、他国へ行きその国の文物制度を観るとともに、自分の国の文化を示すことだといいます。明治時代に「観光」の言葉が使われたときも、外国人旅行者の受け入れに際して使われていました。「観光」という言葉が一般化するのは昭和になってからで、使われ方も国内旅行者にたいしても使われるようになっていきます。

 昭和5年(1930)に日本の旅行業の中心にある鉄道省に国際観光局ができた頃、産業政策としての観光事業への取り組みが注目されるようになりました。千葉県ではこのころに県内観光地の紹介機関として房総観光協会が設立されます。また千葉石版印刷所を経営する由良保三が千葉県観光社を興して、旅行サービス業を始めるのもこの頃です。由良は昭和6年に『房総の観光』を出版しますが、観光客・観光地・観光の勝地などと、それまでの旅行案内書にみられなかった「観光」の語を頻繁につかって、このことばの普及をはかっているようです。

 こうした広域の観光関連団体の誕生にあわせるように、これまで房州という地域単位で出ていた旅行案内書が、この頃から房総全域を単位としたスタイルで出版されることが多くなります。

 県の担当課でも旅行客を誘引することがその土地の発展策であると考えるようになっていました。こうした状況をうけて各市町村にも観光協会が作られるようになっていったと思われます。昭和10年前後には館山北条町と那古町にも観光協会ができていました。観光地の宣伝とともに接客側の理解を促進していく役割を果たしていたのでしょう。

90.房総観光協会発行の栞

90.房総観光協会発行の栞

92.房総の旅行案内書

92.房総の旅行案内書
   船橋市西図書館蔵(無断転載禁止)

90.那古町の栞 91.館山北条町の栞

90.那古町の栞
91.館山北条町の栞