ごあいさつ

安房地域では40年ほど前から葬儀の場が自宅から葬儀場へと移り変わってきました。近年では、令和2年2月頃から流行した新型コロナウイルス感染症の影響で、家族のみで行う小規模な葬儀も増加しています。

また、甚大な被害をもたらした令和元年房総半島台風の発生から3年が経過し、建物の取り壊しや建て替えに伴い、高齢者の市外への移住や使われなくなった昔の道具を廃棄する動きが急速に進んでいます。

さまざまな地域の行事が大きく変わる中、これまで取り上げられることのなかった「供養する人々」に焦点をあて、葬式、盆行事、年忌供養など、死者を弔うために人々が行ってきた供養に関わる資料をご紹介します。

供養に関する行事や風習についての古文書、写真、使用した道具は残りにくいため、今回ご紹介する資料は房州の供養を語る一部に過ぎませんが、本展覧会が地域の歴史を再発見するきっかけになれば幸いです。

最後になりましたが、本展覧会の開催にあたり多くの方々よりさまざまな情報のご提供と、貴重な資料のご出品をいただきました。ご協力を賜りました皆様に厚く御礼申し上げます。

令和5年2月4日

館山市立博物館
館長 三浦 太郎