ごあいさつ

 文化は道を往来する人々の交流によって、相互に影響しあい、新鮮な活力を持ち続けることができます。

 半島南端に位置するわが房州は、こうした文化の流れの袋小路的な地理条件を持ちながらも、海上からの道を開き、独特の歴史と文化をつちかってきました。

 かつて人々は、この道を自らの足を使って苦難を乗り越え、切り開いてきました。この企画展では、こうした人と文物を運んだ道を文化の波及の視点でとらえ、安房地方に及んだ広域的な文化の波を、この地方にのこる仏教美術を中心とした資料をとおしてその一端を探ってみたいと思います。

 この企画展の開催にあたり、貴重な資料の展示を快く御承諾下さった、東京国立博物館、国立歴史民俗博物館をはじめとする所蔵者各位の御協力に、心から御礼申しあげる次第です。

  昭和60年7月20日

館山市立博物館
館長 庄司 徹