ごあいさつ

 博物館の役割の一つとして、歴史の彼方に埋没してしまう文物にスポットをあて、掘り起こしをはかることがあげられます。とくに地方の博物館としては、郷土の忘れ去られていく歴史を調査し記録に留めることが大切な使命であることはいうまでもありません。

 「安房の人物シリーズ」は、そのような郷土の文化を担ってきた人々を紹介するシリーズで、5回目を迎える今回は郷土の絵師・渡辺雲洋(わたなべうんよう)を取り上げました。

 雲洋は数多くの作品を残しているにもかかわらず、その生涯についてはよく分かっていません。郷土に生れ、郷土で活躍し、彗星のように消えていった謎の絵師・渡辺雲洋について、現時点での調査結果をご報告いたします。一人でも多くの方々に関心を持っていただければ幸いです。

 なお本書の編集にあたり多くの皆さまから様々な情報をいただき、また所蔵者の方々には調査に快く応じていただきました。心よりお礼を申し上げます。

 平成9年2月1日

館山市立博物館長 松田昌久