2 川名写真館ヒストリー

東京の浅沼商会で経験を積んだ後に帰郷した川名竹松は、大正2年(1913)、館山町の新井に川名写真館を開業しました。この年には横山コウと結婚しています。

大正12年(1923)の関東大震災により、館山町は全戸数の8割以上が全壊する大きな被害を受けましたが、川名写真館の建物は倒壊せず、開店当初の建物が近年の閉店まで残っていました。

地域の写真館として、住民の冠婚葬祭を撮影する一方、戦前には館山海軍航空隊の出入り写真師を務めています。また、水産講習所などの学校の写真も多く撮影しています。

竹松・コウ夫妻には男子3名、女子6名がいました。このうち次男の延二郎は、昭和20年(1945)にフィリピンで戦死しています。

昭和28年(1953)、県内の写真館で働いていた飯塚芳男が四女弘子の婿となり、2代目となります。夫妻の間には、後の3代目となる長男俊明が生まれました。平成に入り、川名写真館は約90年の歴史を閉じましたが、貴重な写真の一部は当館に寄贈されました。

21.川名写真館前の家族
原品|ガラス乾板 昭和初期
25.戦後の川名写真機店
原品|シートフィルム 昭和30年(1955)頃