明治30年(1897)に創設された農商務省水産講習所(現東京海洋大学)は、館山湾に2つの実習場を開設しました。このうち館山実習場は明治34年(1901)に仮実習場として開設され、漁業実習や乗船実習が行われました。その後、増築や敷地拡大を進め、現在も東京海洋大学の施設として利用されています。
高島実験場は、水産講習所初めての臨海実験場として明治42年(1909)、高ノ島に開設されました。実験室やふ化室、活州(いけす)、寄宿舎等を備えた施設でしたが、関東大震災により大きな被害を受けています。さらに、隆起して地続きとなった高ノ島周辺に海軍が航空基地を設置することになったため、昭和5年(1930)に小湊(鴨川市)へ移転しました。
川名竹松が遺したガラス乾板や紙焼き写真には、水産講習所の建物や練習船、実習風景を写したものが数多くあり、竹松が水産講習所から依頼を受け、記録写真を撮影していたことが分かります。