戦国時代の終わりに戦国大名里見氏が築いた館山の城下町は、海上交通によって江戸時代も町場が維持されました。その町が安房地方の中核都市と位置付けられたのは明治時代のことです。
今年は明治元年(1868)から起算して満150年に当たります。明治維新後の西洋文化の影響と富国強兵を目指す政府の殖産興業制作によって、産業や暮らしの環境が大きく変わっていったのが明治時代です。そして全国的な近代化の波は館山にも訪れてきました。
海を通じて東京に近いことや気候が温暖な土地柄なこともあり、交通手段が変わった明治時代には様々な人々と交流する場ができていきました。そうした人々との交流が、館山の近代化に大きな影響を与えています。
この企画展では、発展・飛躍といえる近代化の歩みを果たした館山市の変化を、交通と産業の変化という視点から紹介するとともに、人のネットワークによって作り上げられていった明治という時代の技術と文化を再認識したいと存じます。
館山ではどのような近代化がおこり、現代にどのように結びついているのか。地域に伝わる歴史資料を通して館山の近代化を考えていただける機会となれば幸いです。
最後になりましたが、本展覧会の開催にあたり多くの方々よりさまざまな情報のご提供と、貴重な資料のご出品をいただきました。御協力を賜りました皆様に、厚く御礼申し上げます。
平成30年2月3日
館山市立博物館
館長 溝江 晃