5 慰霊と伝承

関東大震災による死者の弔いはすぐに行うことができませんでしたが、9月12日には北条町の法性寺(ほっしょうじ)で大法会が行われました。大法会の夜には遺族や被災者のために青年団が活動写真の映画を放映し、会場の北条小学校の校庭には約5,000人が訪れたそうです。10月1日には、真言宗※清澄寺住職(天津町)と浄土宗金台寺住職(北条町)が中心となり、安房郡各宗寺院連合が北条小学校を会場に安房郡の震災志望者のために大追悼会を開催し、約1,000人が参列しました。さらに、北条町に震災記念観音や震災記念反省地蔵尊を祀り、関東大震災で亡くなった安房郡内外の供養を行いました。

※大正12年当時。現在は日蓮宗。

関東大震災に関する新聞や書籍は多く出され、当時の写真や報告書も多くの家で保管されてきました。写真を使用した絵はがきも多く残っています。また、安房郡各地には関東大震災の被害について記した記念碑など地震の足跡が残っています。安房地域に甚大な被害をもたらした関東大震災の記録と記憶は、写真、日誌、報告書、印刷物、記念碑、慰霊祭、言い伝えといったさまざまな方法で受け継がれ、現在も伝えられています。

「大正十二年大震記念」碑(館山市腰越 延命院)