唐棧織(とうざんおり)は、「棧留縞(さんとめじま)」とか「唐棧留(とうざんとめ)」などと呼ばれ、近世初頭にオランダ人によってインド・サントーメから日本にもたらされました。唐棧は唐棧留を略したものといわれ、唐は外国を意味します。つまり、唐棧織は外国から舶載(はくさい)された縞木綿(しまもめん)ということです。棧留はインド東海岸のサントーメという港町の名からつけられたといわれています。
粋な縞模様や異国情緒あふれる色感、絹に似たつやと風合いが江戸の人々に愛されました。また、天保の改革で贅沢品が禁止され、絹に代わる織物としてもてはやされたことなどから、江戸時代後期に大流行しました。
かつては埼玉県川越の「川唐(かわとう)」をはじめ、様々な場所で織られていましたが、現在、植物染料を使って手で織る伝統的な唐棧織をつくっているのは館山の齊藤(さいとう)家だけです。