話の内容を思い出せない馬琴は、『里見記』や『里見九代記』、『里見軍記』、『房総治乱記』などの本を読み、また『水滸伝』や『三国志演義』などを参考にして、『南総里見八犬伝』を馬琴の創作で書いたのです。伏姫が八房に嫁する話しは、高辛(こうしん)氏の槃瓠(はんこ)説話に倣(なら)ったといってます。
八犬士たちの名前は槇島昭武著『合類大節用集』から、また房総の地誌は中村国香の紀行文『房総志料』などの記述をもとに『八犬伝』を書いたのです。
あまりにも房総のことが詳しく描かれているため、馬琴が房総に来遊したことがあると思う人がいるくらいです。
南総里見八犬伝』肇輯巻之五
里見八犬士のことは、馬琴が『南総里見八犬伝』を発表する100年前、享保2年(1717)に出版された『合類大節用集』ですでに紹介されていますが、これには八犬士の名前しか書かれていません。