八犬士のひとり犬山道節忠與は妹浜路の円塚山での最期の願いを退けて、村雨丸を手に入れました。火定に入るふりをして銭を集めたり、それもこれも江古田・池袋の戦いで全滅させられた練馬家の君父の仇敵、管領扇谷定正を討つ目的のためでした。
上野国白井城に引きこもった定正が狩りに出ることを知った道節は、その帰りを城近くに待ち伏せします。そして村雨丸を献上すると偽って定正に近づき、首を切り落としたのです。
これは道節を捕らえるための罠でした。血路を開きかろうじて逃げ延びた先は、音音(おとね)の庵がある荒芽山の麓でした。