【5】参詣・祭礼・境内の図

 社寺参詣を描いた図で、もっともよく見られるのは、伊勢神宮に関連するものである。村々には、仲間内で資金を積み立てて、何年かごとに伊勢に参る「伊勢講」が結成されていた。鋸南町上佐久間日枝神社の「伊勢太々神楽奉納図」(図版37)・「伊勢神宮参詣図」(図版39)は、伊勢参詣の記念に奉納されたものである。

 安房地方で流鏑馬といえば、鴨川市吉保八幡神社がよく知られているが、「流鏑馬図」(図版38)の残る同市坂東八幡神社でも、戦前まで流鏑馬が行われていた。騎者の名も絵馬に記されている。