開催にあたって

 明治維新は日本を近代化に導びく契機となりましたが、その変革のなかで大きく生活を変えていったのは武士たちでした。

 今回とりあげた長尾藩は、幕末まで静岡県の藤枝・焼津両市を中心に田中藩として4万石を支配していたのですが、明治初年に徳川氏が一大名となって駿・遠・三の三国を支配することになったとき、駿遠にいた他の大名とともに房総の地へ移されてきました。そして長尾藩として館山市や夷隅地区を中心に房総で4万石を支配する藩として明治4年の廃藩置県まで続きました。

 わずか4年間の治政ですが、廃藩後多くの藩士が旧地の田中領や東京などへ出ていくなかで、房州の地へとどまる藩士も多く、今も市内を中心にその子孫の方が多く残っています。

 この企画展では、明治維新の変革にふりまわされる武士たちの様子や国替えの模様、また武芸・文芸に励む武士の日常生活を紹介するほか、廃藩後は塾を開いたり、教師となって地域の教育向上に貢献した藩士を紹介しながら、館山の明治維新の様子についてその一面ではありますが、理解を深めていただきたいと思います。

 企画展の開催にあたり、貴重な資料を出陳・撮影等させていただいた所蔵者その他関係者の方々に心から感謝申し上げます。

  昭和59年10月20日

館山市立博物館館長
吉 岡 政 雄

展示のようす