大工にとって道具は手の延長だという。大工の心を木に伝えるのだという。それだけに大工は道具に執着し、買ってきた道具を自分の手に馴染ませるために作りかえ、手入れも怠らず、すりへり研ぎへるまで使うのである。
大工道具の種類は多い。道具の王者ともいわれる。墨壷(すみつぼ)・墨さし(すみさし)・曲尺(かねじゃく)に代表されるような、部材の水平や垂直を見、線引をするための墨掛道具をはじめ、平行線を引く罫引(けびき)、荒仕事用の鉞(まさかり)・釿(ちょうな)、よく知られている鋸(のこぎり)・鉋(かんな)・鑿(のみ)・錐(きり)・鎚(つち)、手入れ道具としての砥石(といし)・鑢(やすり)などがある。昭和18年頃の標準的な大工道具としては179点あり、どんな安普請でも73点の道具を備えなければならなかったという。なかでもカンナやノミは仕事の内容に応じて多くの種類が揃えられた。
26~31
上 水準器
下.左から 曲尺(かねじゃく)、スコヤ、とめ定規、下げ振り、折り尺
流山市立博物館蔵
32.鉞(まさかり)
当館蔵