太子講は建築関係職人の信仰として最も一般的なもので、職業神として聖徳太子を祀るものである。館山市には現在大工のみで構成する館山市建築協同組合があり、1月と8月の年2回太子像の掛軸を掛けて太子講を行う。その下部組織である地区支部や他の地区組合でも行うが、古くはそうした地区単位で講が組織されていた。
神余地区の神余職工組合は、かつては左官・木挽き・建具屋などの建築関係者も含めて太子講が構成され、安永6年(1777)に大工・木挽中で造立した松野尾寺(現在自性院に合併)の木造聖徳太子像をお参りするのを例としている。
またこうした太子講の場では、昔は鋸鍛治が酒を携えて、鋸の売込みに来ていたという。