元旦に新年を祝って句を詠むことを歳旦といい、暮に詠んだ歳暮吟や春を詠んだ春興吟と合わせて春興帖が刊行されました。俳句で新年の挨拶をし、古稀などの賀寿や立机の祝いを述べ、追悼の意を伝えることも行なわれました。また江戸・東京から有名宗匠が来ると、指導を受ける機会もつくられました。
37.一枚摺り(明治年間)
堀口角三氏蔵
挨拶代わりの句を載せた絵入りの刷り物が盛んに作られた。これは館山に移住してきた前田伯志が歳暮・歳旦・春興の三節の句を詠んだもの。
38.『旦暮帖』 文化12年(1815) 加藤定彦氏蔵
江戸の採荼庵万里が門人などの歳旦句を編んだもの。房州出野尾村(館山市)小網寺の一阿窓空居の歳旦句もある。
上総遊歴に出ている江戸の宗匠狐山堂卓郎が勝浦へ来る機会に月次句合が企画された。広場村(鴨川市)の久保椿山など房州のひとびとも補助として参加している。
39.短冊 明治32年(1899) 安西明生氏蔵
前田伯志の古稀を祝う山根路行の短冊。