現代へと直接つながる明治という時代。館山でもおこった近代化へのさまざまな変化には、それを担うべき人材が欠かせませんでした。新しい行政や教育を最初に担った人々のなかには、幕末の動乱の中にいた武士たちが多くいました。彼らは新しい時代をどのように生きたのか、館山の近代化のなかでの彼等武士たちの生き方を紹介する企画展を開催します。
明治維新にともなう廃藩置県・廃刀・秩禄処分などによって武士の時代が終わりを告げると、士族とは呼ばれながらも、武士たちは生き方自体を変えていかなければなりませんでした。新しい時代を生きるため政治経済の中心地である東京へ出る者や、先祖伝来の土地から離れない者、縁者を頼ってゆかりの地へ赴く者など、皆さまざまな対応をすることになりました。彼らの中には新しい時代をリードする行政・政治・教育の分野に関わり、やがて地方に新しい技術や情報を持ち込んでくる者もありました。しかし、多くは農工商の分野で新しい時代を生き抜いていきます。
廃藩置県から150年目の今年、この企画展では、明治という大変革の時代に対応した武士たちの姿を紹介します。地域に伝わる歴史資料を通して、新しい館山へと移り変わっていく近代化の一側面をご観覧ください。
最後になりましたが、本展覧会の開催にあたり多くの方々よりさまざまな情報のご提供と、貴重な資料のご出品をいただきました。ご協力を賜りました皆様に厚く御礼申し上げます。
令和3年2月6日
館山市立博物館 館長 櫻井 保志