あいさつ

 江戸時代後期になると異国船が東京湾へ頻繁に侵入してきました。鎖国の方針である幕府は海岸の警備を強化し、江戸を守る房総半島や三浦半島には多くの砲台が築かれます。警備を担当する大名たちは担当地域を所領や預り地として支配することになり、その拠点となる支配と警備のための陣屋を設置しています。安房地方にも陣屋が設けられ奥州白河藩・武州忍藩・備前岡山藩から多くの武士たちが訪れました。また地域の村人たちは通常の年貢負担だけでなく、警備の人足や船の提供をするなどの負担にも応じることになりました。

 この特別展では、開国へと大きく動いていく日本の中で、異国の進出にゆれた時代の安房の人々の生活を紹介いたしますが、東京湾の入口にあって首都江戸を防衛する役割をになった館山の特性について、海という視点から考えていただける機会となれば幸いです。

 最後になりましたが、本展覧会の開催にあたり多くの方々よりさまざまな情報をいただき、また貴重な資料をご出品いただきました。ご協力いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。

平成25年2月2日
館山市立博物館
館長 岡田 晃司