(2)水岡やぐら(水岡)

 「ヤグラ」は鎌倉時代中期から南北朝時代にかけて、鎌倉を中心に武士階級の墓穴として数多く作られ、安房でもよく見ることができます。なかでも水岡には間口2m、奥行1.8m、高さ1.5mの大きさで壁面に17基の五輪塔が供養のために浮彫りにされたものがあり、さらに奥壁中段に火葬骨を葬った穴もあって、極めて特色のあるものです。このようなヤグラの存在は、武家の中心地であった鎌倉の文化が、安房にも強い影響を与えていたことを裏付ける貴重なもので、水岡やぐらは規模の大きなこともあって市の指定文化財になっています。またその周囲にも数基の横穴があり、既に滅失したものもありますが、群をなしていたことがわかります。

◇交通 日東バス千倉行安東下車徒歩3分