「安房の人物シリーズ」は安房の歴史と文化を築いてきた、郷土の所縁の人々を紹介するシリーズです。そのシリーズ第9回目はわが国綴錦織工芸界最高の大家とされた清貧の芸術家遠藤虚籟氏と、弟子であり理解者であった和田秋野さんを紹介します。
綴錦織は綴織ともいい、その起源は古く、筬を使わず一本ずつ丹念に爪先で掻き寄せて図柄を織りあげていく高度な技法ですが、その数少ない伝承者として千葉県無形文化財に指定された和田秋野さんは、館山市内に御健在です。
この展覧会では、遠藤和田両氏の人生と、戦争犠牲者の供養と世界平和を祈って制作した綴錦織曼荼羅の世界を紹介します。
本書の編集にあたり、関係者をはじめ、多くの方々より様々な情報をいただき、また所蔵者の方々には調査に快く応じていただきました。心より感謝申しあげます。
平成17年2月5日
館山市立博物館長 石野裕男