【2】安房の雨乞い
 (1)水への信仰と雨乞い

 灌漑事業をおこなう一方で、人々は神仏に祈りを捧げ、水の恵みを願いました。伝承される井戸の伝説や水まわりの神仏、さらには多様な雨乞いの風習からは、現在では考えられないほど当時の人々が切実に水を欲した様子がうかがわれます。

 安房地方では、愛宕(あたご)山(南房総市408.2m)、高宕(たかご)山(君津市・富津市330m)、榛名(はるな)山(群馬県)、大山(神奈川県)の雨乞い信仰が盛んです。また、各地に雨乞山や雨乞塚があり、信仰を集めてきました。

 雨乞いには講で行事をおこなうものから、村でおこなうもの、さらには数ヶ村が合同でおこなうものがありました。いくつもの方法があり、目的が達せられなければより大規模になったようです。

写真3.弘法井戸(館山市・神余)
写真3.弘法井戸(館山市・神余)
写真6.弘法井戸脇大師像(館山市・神余)
写真6.弘法井戸脇大師像(館山市・神余)

<雨乞いいろいろ>

・3日3夜おこもりをする(北風原)
・天道様にかがり火を一週間焚いて籠る(東真門)
・亀をわらでつくり、弁天様に供える(布沼)
・千后離(せんごり)(東真門)
・潮后離(北条)
・わらで龍(蛇)と蛙をつくり、龍が蛙をのみこむ真似をする(布沼)
・榛名山へ水貰いにいく(船形、北条、鋸南町)
・かっこ舞を踊る(各地)

・フリュー太鼓をかついで山へ登る(各地)
・神輿を出す(各地)
・祈祷し、船で幣束あげをおこなう(江見)
・裸踊りをする(東長田)
・竜光山(鴨川)でマトヒ(幟)を振り回す(太海)
・池畔で祈祷、池の水を乱す(江見)
・雨乞塚で鐘をたたいて念仏を唱える(千倉)
・鉄釜のお水借り(高宕山)