安房地方の獅子舞は獅子神楽とかっこ舞(獅子舞)があります。獅子神楽は悪魔を祓う役割を持つとされ、各地で神事のはじめに演じられてきました。かっこ舞はこの神楽系の獅子舞と区別される風流系の獅子舞です。
風流とは、みやびやかなものや風情あるものを意味します。中世には風流は「ふりゅう」と読まれ、祭礼の行列やさまざまな仮装をして囃子や歌とともに、手ぶり面白く踊る大勢の踊りなどもさすようになりました。
風流の太鼓踊りは、腹につけた太鼓をたたきながら踊る踊りで、太鼓踊り、かっこ踊り(かんこ踊り)、雨乞踊り、風流などとよばれ、三河以西の西日本を中心とした地域で広くおこなわれています。太鼓踊りは田植踊りから発生したとされ、多くが今も雨乞いに踊られています。
<かっこ>
かっこ(鞨鼓)とは獅子が腹につけている太鼓のことです。獅子頭や踊りをかっこと呼ぶことがあります。ただし安房地方では踊りや獅子頭をかっこと呼んでも、太鼓をかっこと呼ぶことはほとんどありません。
<ささら>
すりあわせることで音を出す竹製の楽器です。それにともない、ささらをする役もささらと呼びます。ささらをする音は蛙の鳴き声、ささら役がかぶる笠にたれる長い色紙は雨だれを表現しています。
<獅子頭>
獅子は、恐ろしいものを追い払うことができると信じられてきました。かっこ舞で使用する頭は多くが獅子頭であるといわれていますが、龍や鹿であるとする地区もあります。