4.南房総市山田(旧富山町)川名家(南房総市指定有形民俗文化財)

 川名家は里見の家臣を先祖に持つとされ、古文書など多くの資料が伝えられています。

 獅子頭は嘉保2年(1095)の作と伝えられていますが、銘はなく正確な年代は不明です。毛はなく下あご部分が欠損していますが、比較的、形や色は残っています。また、かっこ舞の獅子頭とともに神楽舞の頭1点、棒術の棒2点が同家に残されています。

<獅子神楽>
 安房地方の獅子神楽は、江戸時代より伝わる伊勢派の磯村神楽と弥之助神楽の2系統があります。磯村神楽は鴨川市磯村に居住した館三太夫の系統、弥之助神楽は南房総市和田に居住した藤井長太夫系の水島弥之助の系統です。前者は鴨川市を中心に長狭街道一帯、久留里町、君津、木更津方面をなわばりにしていました。後者は、南房総市千倉、丸山、三芳、富浦、岩井、館山市で興行をおこない、また指導をして地元芸能に影響を与えました。獅子神楽は、現在も館山市藤原や古茂口などで伝えられています。