神奈川県伊勢原市の大山(標高1252m)は阿夫利(あふり)山、雨降山とも呼ばれています。あふりは雨降りにつながるため、大山は雨乞いの信仰と強く結びついていました。
大山の山頂にある石は石尊大権現(せきそんだいごんげん)として、奈良時代の創建と伝えられる雨降山大山寺、平安時代の文献に書かれている阿夫利神社とともに信仰を集めましたが、江戸時代には、徳川家康の寺院統制によって、石尊社、大山寺、八大坊を中心とする組織に改革されたため、それまで山に居た修験者たちは下山し、麓に住み御師(おし)となりました。明治時代の神仏分離によって、山頂の石尊社が阿夫利神社本社、大山寺は移転し跡地が阿夫利社下社となっています。安房地方においても、大山講が結成され、多くの先達(せんだつ)が活動していました。