和泉の三役は「棒術」「かっこ舞」「獅子神楽」の三つを合わせた名称です。男金(おがな)神社の祭礼に神前での奉納および公会堂前庭での披露が行われます。男金神社は鴨川市和泉のほぼ中央に位置する男金山に鎮座する神社で、元は妙見社といいましたが、明治元年(1868)に和泉地区内各地の小祠を合祀する際に男金神社となりました。
三役がいつごろからおこなわれていたのかは伝えられていません。明治41年(1908)以降はそろって奉納されていましたが、昭和42年(1967)から20数年間に渡って後継者難から棒術とかっこ舞は休止し、神楽獅子舞だけが奉納されていました。平成2年に三役として復活し、それぞれの保存会が継承しています。
かっこ舞は、今から400年ほど前の里見義康の時代に、兵の士気を高めるために舞ったものといわれています。「ささらすり」の音は雨の音を表しているともいわれ、稲の育成のための雨乞い、五穀豊穣を祈願する行事として神に祈る舞が始まりだったとも伝えられています。
棒術は、田畑や農作物を守るために農家の人たちが武芸を習ったのが始まりと伝えられ、神楽は病魔や疫病を払いのけ、家内安全、五穀豊穣を願うとされます。棒術が露払いをした後にかっこ舞が踊り、続いて神楽の獅子が踊ります。