3.江戸霊巖寺

 道本山東海院霊巖寺(どうほんざんとうかいいんれいがんじ)といい、現在は東京都江東区白河に所在する。寛永元年(1624)の建立。開山は霊巖。関東十八檀林の一つで、120余の学寮が建ち並び、道譽流伝法の道場として隆盛を極めた。

 房総を本拠地として活躍していた霊巖の名声は諸国に聞こえ、徳を慕うものが増えたため、御府内へ巡教(じゅんきょう)することも多くなった。そこで、房総からの交通の便を考え、船着に至便な場所を見立てて日本橋の近くの葦の原(現在の中央区新川付近)を拝領して、それを熱心な信者たちが埋め立てて3万坪以上の広大な土地を造成し伝道の地とした。やがて誰言うともなく、霊巖(岸)島と呼ばれるようになった。

 これが現在地に移ったのは、明暦3年(1657)に起こった大火(振袖火事)でこの一帯が悉く(ことごとく)焼失し、その後その地を市街として用いることとなり、替地として現在地が与えられたためで、門前町ごと移転したという。

左:霊巖寺本堂 中:雄松院(開山堂)本堂 右:勢至院本堂
左:霊巖寺本堂
中:雄松院(開山堂)本堂
右:勢至院本堂