(1)縄文時代の海岸
  1.掘り出された縄文時代の海岸-館山市加賀名遺跡

 館山市波左間(はさま)と加賀名(かがな)にまたがる加賀名遺跡は、館山湾に面する標高11~23mの海岸段丘上にありますが、標高約10~12mの沼Ⅲ面上にある地点で平成9~10年に発掘調査が行われました。その結果、古墳時代後期から奈良・平安時代にかけての住居跡や、古墳時代後期の祭祀(さいし)跡などがみつかりましたが、これらの遺構の下から岩石海岸、いわゆる磯がみつかりました。

 地質学は、沼面群の研究成果から、沼Ⅲ面の隆起の時期を縄文時代晩期にあたる2,850年前としていますので、加賀名遺跡の標高約12mの地点でみつかった磯の跡は、縄文時代晩期の大地震で隆起した岩石海岸と考えられます。ところが、この旧海岸線をさらに標高約9.5mの面まで掘り下げたところ、礫石に交じって、約4,000年以上さかのぼる縄文時代早期(約7,000年前)の土器片と黒曜石の石器片がみつかりました。

 これらの遺物と一緒にみつかった礫石には、河川に多くみられる扁平の礫が含まれています。また、遺物の多くが水によって磨かれていることから、加賀名遺跡の背後の高い位置にある丘陵面上にある遺跡からの流れ込みであると考えられています。

加賀名遺跡でみつかった縄文時代晩期の岩石海岸
加賀名遺跡でみつかった縄文時代晩期の岩石海岸
縄文土器
縄文土器

資料1.館山市加賀名遺跡出土遺物

石器類(黒曜石製)
石器類(黒曜石製)