御身抜(おみぬき)

 語源は不明だが、角行以来の行者が富士の信仰世界を表現したいわば曼荼羅図を総称して御見抜という。形態は角行が唱えた「明藤開山(みょうとうかいさん)」と「●●(ちちはは)(創造神)」、「●●大●妙王●躰拾坊光●心(ごうくうたいそくみょうおうそくたいじっぽうこうくうしん)」という御神語を基本にし、多くは軸物だが折本や巻物になった伝書の中にも記される。御身抜を肌守りとすることもあったようで、なかには全長30cmほどの小幅もある。

 角行直系の行者による御身抜が難解な暗号のようであるのに対し、身禄は明藤開山の上に三尊を示す「参」の字を加え、五行の文字のみで御身抜を書いた。後の富士講では、唱え文句を兼ねたこの五行御身抜が定型となり、高名な御師や先達が書いたものが尊ばれた。

26 月玥伝書

26 月玥伝書
個人蔵

27 書行藤仏五行御身抜

27 書行藤仏五行御身抜
鳩ヶ谷市立郷土資料館蔵

29 村上光清御身抜

29 村上光清御身抜
個人蔵

28 星行御身抜

28 星行御身抜
鳩ヶ谷市立郷土資料館蔵

30 五行御身抜
30 五行御身抜
個人蔵