先達の持物からは、何やら摩訶不思議なものが続々と出てくる。オフセギとよぶ「参」の字がぎっしり書かれた紙切れ、呪文らしき文字が並ぶ「虫歯守」、家相や相性を占う本。病気治しや占いは、先達の重要な役割のひとつであり、先達が様々な難行苦行を重ねるのは、まさにこの役割を果たすべく、法力を得るためといってよい。
腹痛から雨乞いまで、先達が請けおう問題は幅広かったようで、村人にとって先達は、日常的におこる様々な心配事を何でも解決してくれる、身近な相談相手でもあったのである。

61 虫歯守
58 センブリ
煎じて胃の薬にしたもの。


59 護符
60 人穴御垢


63 腹帯
これを身につけるとお産が軽くなるといわれる。
お産が近づくと、先達の家に借りに来たという。
65 九字大事
呪術ごとに使う印相を記した先達の伝書。


66 火渡り写真
こちらの写真は昭和10年代に千倉町平磯で行われた火渡りの様子。中央で火の上を歩いているのは、富士山八合目の小屋の人。