〔安房国浅間宮八百番〕

番号 地名 現市町村名 拝みうた
1 磯村 鴨川市 三国の光の元をたずぬれば朝日に夕日富士の極楽
2 川代村 鴨川市 見るにあかぬ雪うちかくる富士の山ただ白妙に心深くも
3 天面村 鴨川市 富士の山登り払えの雪こおり千代万世も空にしられて
4 仲居村 鴨川市 富士の山天明とあく万代の道の心も峯のいたけさ
5 岡波太村 鴨川市 帰る身のしるしと斗り残しおく尽きせぬ富士の峯に言の葉
6 江見村 鴨川市 新たなる御前をたちて古しへの伊勢の川上見るぞうれしき
7 真門村 鴨川市 内外の八ツ八ツの水のみなかみ尽きせぬ御世の富士のみたらし
8 白渚村 和田町 富士の山峯に言の葉残しおくひろき裾野のすえの世迄も
9 岩糸村 丸山町 此中のはらより四方の雲晴て見えにけるかな山も富士の根
10 西原村 千倉町 富士の山裾野に扨もきこえなるその奥ひろき白糸の滝
11 珠師ケ谷村 丸山町 富士の山登りてみれば何もなし善きも悪しきも我が心なり
12 石堂寺 丸山町 富士の山善きも悪しきもなす事はいく世へるとも身にぞ来りし
13 川谷村 丸山町 富士の山登りてみよや新たなる上は白雪内はけんこん
14 丸本郷村 丸山町 おのずから餝る心をふり捨てて玉のひかりの富士の山もと
15 丸本郷下村 丸山町 いつまでも心やわらぐ富士の山ただひとすじに玉のひかりは
16 下三原村 和田町 ひとすじにそのおくみれば富士の山玉のひかりのあらたなりけり
17 沓見村 丸山町 藤七ツ月たちまちに移りけりまた行くことも富士の白妙
18 安馬谷村 丸山町 藤八ツの今つえ月の富士の山玉のひかりを只ひとすじに
19 白子三島村 丸山町 見てもしれ藤九ツの富士の山玉のひかりのあらたなりけり
20 宝貝村 館山市 廿日夜の月より四方の雲晴れて西や東や北や南へ
21 前田村 丸山町 富士の山雲きりはれて四方迄も玉のひかりのあらたなりけり
22 峯村 丸山町 天照すその奥見れば富士の山のりのおしえのあらたなりけり
23 川合村 千倉町 峯の石春夏秋の冬迄もかたくしれとや富士の山とり
24 久保村 千倉町 月も日も皆ひとすじに願うなら悪ははなれて名を照らすらん
25 牧田村 千倉町 先たつもあとに残るも今行も皆白妙の富士を見当てに
26 瀬戸村 千倉町 人はただ我身を下げて先を上げ見る白妙を富士に残して
27 川戸村 千倉町 おしえにも玉のありかは富士の山願うその身もひかりそうらん
28 北朝夷村 千倉町 富士の山四方の雲きり吹はれて御息あらたに千代万世と
29 南朝夷村 千倉町 富士の山はたちか中にかどたてて西や東や北や南へ
30 平館村 千倉町 富士の山心のくもりうち晴て玉のひかりにあうぞうれしき
31 忽戸村 千倉町 富士の山曇る心のいまはれて千代にや千代に峯の白妙
32 白間津村 千倉町 富士の山四方の裾野も雲晴て末の世迄も知るぞうれしき
33 塩浦村 白浜町 富士の山おしえのごとく新たなる祭りおこなう千代万世と
34 川間村 白浜町 色欲のふたつをみれば右左善きも悪しきも皆身にぞ見る
35 滝口村 白浜町 色欲をはなれてみよや二つなし心のうちのたまのひかりを
36 相浜村 館山市 時を得て君の心にまいりあう道あら玉の富士の山もと
37 大神宮村 館山市 富士の山三ツの心を手にふりて直のおしえを千代万世と
38 小沼村 館山市 立横も千代万世とおるにしき西丸月の今日のことぶき
39 根本村 館山市 草も木もなくては川のうろくずも生あるものは心得てすめ
40 波佐間村 館山市 物事をひとつわかれば富士の山いく世へるとも出入のあだ
41 加賀名村 館山市 末の世の出入りみればおそろしやなしおくことはみな富士の山
42 浜田村 館山市 極楽をいづくとみれは我身なりらくにそ喰えば心うれしや
43 塩見村 館山市 あらそえば我居る所さらになし下なるひとはかみへかみへと
44 香村 館山市 誠かな道あら玉の御世となるせきもとのあく富士の裾はら
45 宮城村 館山市 三国の元の氷りをとりそめて今ぞおさむる富士の白妙
46 館山城山 館山市 ふたつなし慈悲のおしえは日の光り雲吹払う峯の雪風
47 館山新井浦 館山市 二日夜の皆白妙の富士よりも苗青空にとりてうえけり
48 真倉村 館山市 三国を皆白妙の身になして今あら玉の富士の山もと
49 長田村 館山市 富士の山皆白妙の青空に千代万世と名を残しおく
50 永代村 館山市 富士の山見ざる聞かざる言わざるも只ひとすじに玉のひかりを
51 大貫村 千倉町 富士の山皆三国へあら玉の東へ出て西の奥まで
52 片岡村 館山市 みるにいま七ツ星の天の川朝わかれては四方へひらけさ
53 稲村 館山市 曇りなく皆三国へ斉渡する都卒天にて名を残しおく
54 加戸稲村 館山市 三国を照させたもうその元へ朝行会うて祈るうれしさ
55 二子村 館山市 三国にあたりしものは何もなし善きも悪しきも皆から袋
56 府中村 三芳村 富士の山このかり物を返しおき光の元へ名をも名を立
57 本織村 三芳村 富士の山名は三国へひろめおき都卒天にて見るぞうれしき
58 谷向村 三芳村 かきわけて下にあるとは底の月爰にあるとは誰かしるらん
59 山下村 三芳村 川上の玉のありかはひとり出て都卒天にぞ身は参りける
60 海老敷村 三芳村 富士の山あらそうことも言うことも登りてみれば顕われにけり
61 山名村 三芳村 人はただ下より登りいつとなく富士の山より誠たかくも
62 御庄村 三芳村 尋ね来てこの書物を持出て天子天下へ窺うて御代
63 那古町 館山市 富士の山おしえのごとく此山のぬし家にこそ身は参りける
64 多田良村 富浦町 心眼をひらいてみれば富士の山善し悪しともに顕われにけり
65 白坂村 富浦町 今よりは三つの釼でいかぬなり誠のみちに身はみろくなり
66 正木村 館山市 目に見えぬしんのたたかい示すには誠のみちを富士の山もと
67 金尾谷村 富浦町 富士の山麒麟出けるしるしには三万めでたの心安くも
68 船形村 館山市 天神のその役とてか三国を皆あら玉の都卒天迄
69 上滝田村 三芳村 富士の山皆三国へ誠にて三万めでたの心なりけり
70 市部村 富山町 独りすむ真の月を詠むれば雲きりはれて峯の数しる
71 岩井袋村 鋸南町 西東皆三国へ斉渡する只ひとすじに四方へひらけさ
72 加知山村 鋸南町 斉渡するひかりの程の心知れ深き山路の奥の程迄
73 龍島村 鋸南町 程次弟子々たかふなに桑喰て庭のあかりでまゆ作るなり
74 日本寺山 鋸南町 富士の山三つの心を玉にして糸引延びて駒の手綱に
75 大帷子村 鋸南町 この手綱こんてい駒の口につけ御鏡のせて都卒天迄
76 保田村 鋸南町 参鏡のおしえのごとくこの心末の世迄も折るうれしさ
77 合戸村 富山町 鳥帽子岩身禄の岳と顕れて三万めでたく戸をささぬ御世
78 下村 富山町 月も日も富士は一仏一体に皆三国を照らす御鏡
79 小保田村 鋸南町 今朝迄の罪を免して明日よりも心の鏡日々にとぎぬけ
80 市井原村 鋸南町 三国の鳥帽子岩よりわく泉くめど尽きせぬ富士の北口
81 佐久間村 鋸南町 明らかに峯と麓に立おきて御姿うつす御鏡の御世
82 井野村 富山町 太平の御世をうたうや身禄うた五穀成就を生す御田植え
83 中村 富山町 日の元へ身禄入定北行のおしえをうたう富士の一ふし
84 平塚村 鴨川市 躰内を出てたすかる此乳房皆父母の御恩なりけり
85 丸大井村 丸山町 天照す御前に向う一の岳只一すじに祈る鈴原
86 三坂村 三芳村 三国を我手にあげる咲や姫心も水もすまばみつらん
87 作名村 館山市 卯戸明て民の釜土の茶のけぶり茶しやの稲落や今日のきき神
88 永代村 館山市 稲苗を民にあたえの杉森も稲荷は守護の富士の神なり
89 古茂口村 館山市 妙なるや法の蓮の花いかだ幾世へるとも身こそ来りし
90 下小原村 和田町 砂山を木山にはらむ小御岳の登山にまさるまたととてなし
91 代野村 鴨川市 何国迄火防風雨の守護なればかきけしたまえ今日のきき神
92 日摺間村 鴨川市 富士山のふりこむたけの白雪は御法の守護の火防なりけり
93 打墨村 鴨川市 慈悲情け堪え忍ぶ不足忠孝をわすれぬ為の富士の中道
94 〔花房村〕 鴨川市 その神の亀の岩戸を明そめて今朝青く見る富士の白雪
95 和泉村 鴨川市 亀岩の水は国土の火防なり雪井に高き富士の白雪
96 〔西村〕 鴨川市 生れくる人の命は五穀にて金剛仏は一粒の米
97 横渚村 鴨川市 月と日と晦日のちぎりなかりせば人の種には何がなるべし
98 清澄山 天津小湊町 朝日さす薬師ヶ嶽の浄土なり瑠璃の光のあらたなりけり
99 内浦村 天津小湊町 六道をめぐりて拝む地蔵尊仏のちかくあらたなりけり
100 天津村 天津小湊町 八りゅうをまわりて拝む有がたや面大日あびらうんけん
101 上野村 鴨川市 虚空より五躰成就の風吹も金剛仏は一粒の米
102 竹原村 館山市 道のりも舛目積りの教えにも菩薩の山の恵みわするな
103 山名村 三芳村 あがりても登る便りの杖なれば幾世へるとも身にぞ来りし
104 長尾村 白浜町 箸とるも月日と富士と君と親御恩おくりを三十三たび
105 下堀村 三芳村 日の本のその国々を安かれと六十六度登る富士山
106 広瀬村 館山市 月と日と富士の恵みを返すとて八十八度登る北口
107 南条村 館山市 富士の山百度登る成就して又先迄も年を重ねん
108 貝渚余瀬町 鴨川市 百八度成就駿河の富士の山又登らんと月日待らん

*「国仙元大神一百八番 有志之邨々明細帳」は2冊あり、村名やうたが部分的に異なっているが、ここでは栄行自筆と思われる方を採用した。
**〔 〕内は「当分先達栄行方へ祭り置」とある。