(2)地震による地形変化

 地震による地形の変化が資料で確認できるのは、約300年前にあった元禄大地震です。元禄16年(1703)11月23日午前2時頃、野島崎南方沖合約30kmを震源に、マグニチュード8.2の規模で発生しました。これによって北条海岸では海岸線が400m後退、坂田では5mを越える隆起がありました。

 那古では、下の地震前の絵図36をみると、海が那古観音堂の崖下まで寄せていて、川名・船形方面へ歩いていくことはできなかったことがわかります。丸く囲まれたところは小字寺町の海よりの部分で、その左の浜は小字中浜にあたります。波打ち際は、小字芝崎と大芝の左側字境で、旧国道のやや海寄りです。それより左の小字閼伽井下(あかいした)や中入会・川崎などは元禄地震で隆起した場所で、小字大浜は大正地震で隆起した場所です。

那古寺下の小字

那古寺下の小字
(『館山市土地宝典(那古地区)』)

36.那古寺境論裁許絵図(部分)
36.那古寺境論裁許絵図(部分)  寛文12年(1672)
館山市那古・那古寺蔵
37.柏崎浦絵図
37.柏崎浦絵図
個人蔵

 元禄大地震によって隆起した柏崎の浜の利用状況を記した絵図。上部の左右にのびる太い実線は現在のバス通りで、その下の細い線は地震前の海岸線を示している。

柏崎浦の浜利用状況<模様のある範囲が地震で隆起したところ>
柏崎浦の浜利用状況<模様のある範囲が地震で隆起したところ>