鉈切大明神

 洞窟と奇岩で知られる鉈切(なたぎり)大明神は、現在浜田の船越鉈切神社と見物の海南刀切(なたぎり)神社に分かれていますが、もとは海神である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)を祀るひとつの神社で、上之宮と下之宮だったといいます。

 この神は海上安全守護の神として船乗りの信仰をうけ、船形や富浦など鏡ヶ浦周辺の漁師が篤く信仰していたそうです。社宝として竜宮から納められたという伝承がある独木舟(まるきぶね)や、元禄10年に紀州栖原(すはら)村の鯛網漁師たちが奉納した鰐口などが伝えられています。独木舟は江戸時代初期には20艘以上あったといい、海上安全を祈願するために奉納されたとも考えられています。

70.船越鉈切神社 明治末~大正前半

70.船越鉈切神社 明治末~大正前半
個人蔵

71.紀州漁民奉納の鰐口 元禄10年(1697)

71.紀州漁民奉納の鰐口 元禄10年(1697)
館山市浜田・船越鉈切神社蔵

72.独木舟

72.独木舟
館山市浜田・船越鉈切神社蔵