【5】鏡ヶ浦をめぐる信仰
 (1)鏡ヶ浦の神仏

 鏡ヶ浦の周辺には、古くから信仰されてきたさまざまな神仏が祀られています。北から大武佐(たいぶさ)不動・崖観音・那古観音・国司大明神・鉈切(なたぎり)大明神・洲崎大明神などがよく知られている神仏です。海に面することで、鏡ヶ浦周辺の海域で漁をして生活する人々や、磯根の海産物の恵みで生活をする人々、交易などで海上を行き来する生活をおくる人々、一時的に海上を交通路にする旅人など、海にかかわる人々の気持ちがその信仰に反映されています。また、水の神である弁天様や海の神である金毘羅様も漁業神として海辺の各所に祀られています。

 古い神仏の多くは大漁祈願や海上安全を祈る神仏で、漁師を中心に信仰されてきました。そうした様子は各社寺の由緒書や奉納物などから窺うことができます。