(1)安房神社(大神宮)

 安房国一宮で、天太玉命を祭神としています。忌部一族による安房開拓神話に登場する安房忌部氏の祖天富命が、その祖神を祀ったものとされます。平安時代の「延喜式」には「安房坐(アワニマス)神社」と記される式内社で、すでに大同元年(806)には100戸の封戸を有していました。境内地からは古墳時代の祭祀用土器が出土しており、古代祭祀の地に神社が建てられたことがわかります。戦国時代には里見氏の崇敬をうけ、社殿の復興や社領の寄進も行なわれ、大神宮村に19石余、滝口村(白浜町)に11石が与えられました。この社領は江戸時代にも引き続き幕府から寄進をうけています。境内には海食洞窟遺跡があり、人骨や土器が発掘されて県の史跡に指定されているほか、神社所蔵の木造狛犬や木椀・燧箱・高坏・古鏡などが市の指定文化財になっています。

◇交通 JRバス安房神社前下車徒歩5分