武家社会のはじまり

 鎌倉に武家政権が確立し、文化的な成長をとげると、東京湾をはさんだ対岸の安房にさまざまな影響を与えました。安房国四郡には東条、神余、丸、安西といった豪族が成長を遂げ、彼らを中心に中小武士層の間にも、鎌倉文化の強い影響をうけて多くの文物が流入しました。

 鎌倉を中心に三浦半島に集中的にみられる中世武士階級の墓制“やぐら”や、仏像彫刻の様式にも鎌倉風の特色がみられます。また小網寺の梵鐘や、金沢称名寺の住僧審海銘のある密教法具なども鎌倉方面からの流入物で、その交流の深さを知ることができます。