山村の農家では、米作りがおわって、冬になると、山に入り、雑木林のトウジイやナラなどを切って、炭焼きの仕事をしたり、薪を作りました。薪や灰は、自分の家で使うほか、町場に出荷しました。一年中、炭焼きの仕事をしている人もいました。
林のヤマシは、山の立木を買いとると、サキヤマを頭(かしら)にして、ソマ、コビキ、ダシの人夫を山に行かせて、伐採をして、造材し、山からおろしました。
山で伐採した丸太は、そのままでは重いので山中に、レンガケとよぶこの仕掛けをつくり、板に挽いてから山から搬出します。
この写真は、昭和28年1月に、鴨川の西条村花房の山林にあった松の大木を館山の木挽仲間が伐採したときの記念写真です。これで、造材した木は、銘木として東京に出荷されたそうです。
森林(しんりん)の育成は長い年月がかかる仕事で、苗木(なえぎ)の植付(うえつ)けから、下刈(したか)り・間伐(かんばつ)・枝打(えだう)ちといった作業が長年にわたって、根気よくつづけられます。
立木を倒(たお)すには、まず倒そうとする方向から根切りヨキで切れ目を入れ、反対側からネギリノコを入れて、思う方向に倒す。
伐採した木は、大木の場合ある程度、山で加工し、軽くする。
この仕事をソマとかコビキという。
伐採した材木を山の傾斜や川を利用して、目的地まで運ぶ仕事をダシという。