(6)海南刀切神社(見物)

 海側の見物にある社が海南刀切神社で、刀切大神を祭神にしていますが、もとは浜田の船越神社と一神で豊玉姫命を祀っていました。本殿裏には二つに割れたような巨岩がありますが、これは、ここの神が船に乗ってきたとき、浜に上陸してから手斧で巨岩を切り開いて路を通したのだとも、人々を苦しめる大蛇が災をおこさないように、神が鉈で岩を切り、大蛇の住む紫ノ池の水を抜いたときのものだとも伝えられています。境内には天保10年に楠見村の石工田原長左衛門が彫った狛犬や、長須賀村の石工鈴木伊三郎が彫った燈蘢があります。また拝殿向拝には明治の彫工後藤忠明の龍や獅子があり、拝殿内部には現代の岩崎巴人画伯の作品もあります。毎年7月に行われるかっこ舞は、船越神社といっしょに市の無形文化財に指定されました。別当寺は見物村の東伝寺が務めていました。

◇交通 JRバス安房浜田下車徒歩2分