村の疫病除け

 はやり病は一人出れば次々と地域に広がるので、村をあげて防ごうとした。そのため村はずれに疫病の神を祀ったり、村の出入り口に封じ物をして疫病退散を祈っていた。

国司神社(館山市沼)の天満宮・桜木宮

国司神社(館山市沼)の天満宮・桜木宮
 恨みを持つ御霊として菅原道真を祀る天満宮は、天災や疫病をおこす怨霊としても恐れられたことから、同じく道真を祀る桜木宮とともに疱瘡除けとされた。

小川(南房総市和田町)の疱瘡神  村はずれの鎮守から和田浦への山越えの道の途中にある。

小川(南房総市和田町)の疱瘡神
 村はずれの鎮守から和田浦への山越えの道の途中にある。

丹生(南房総市富浦町)の疱瘡神

丹生(南房総市富浦町)の疱瘡神
 丹生のイシャドンの持ち山に祀られている。

宇田(南房総市千倉町)の瘡神様

宇田(南房総市千倉町)の瘡神様
 村はずれに祀られている瘡(かさ)の神様。体にできたカサや吹き出物が取れない人の信仰を集め、旧暦1月9日に祭礼が行われていた。病の人はアワビの殻を借りていき、病がいえたら倍にして奉納するという。

山下(南房総市)のツナツリ

山下(南房総市)のツナツリ

 悪霊や疫病が村へ入ることを防ぐために、村境に吊るされる藁のまじない物をツナツリといい、房総各地で今も続けられている。山下ではワラジ・タワシ・サンダワラ・ヘビをつくるが、土地によって下げるものはちがう。