平館村(南房総市千倉町)のイシャドン石井家は、宇門(1865没)-脩斎-乙二郎と続いた。宇門は久保村の医師井上杉長の俳諧の弟子で平雄と号して多くの作品を残すほか、小松寺の仁王像を刻み、杉長の肖像画も描くなど多芸な人であった。この神農像も宇門の作。
久保村の井上杉長は小林一茶とも親しくした俳人として知られる。医名は良珉といい、東京湾周辺の警備のための陣屋を安房に設けた白河藩の陣医として白子の梅ヶ岡陣屋へ出入りした。やがて白河藩が伊勢桑名への転封をすると、それに従って桑名へ移住し桑名藩侍医となった。文政11年(1828)没。59歳。
126.神農像
石井美代氏蔵