上野才庵が学んだと伝える幕府侍医は藤本立泉と思われる。藤本立策は徳島藩の藩医で、立泉の娘婿にあたる。神農図(【2】薬と医療参照)は才庵が藤本家からもたらしたと伝えられているが、帰郷の際の記念品と思われる享保頃の藤本立泉宛の大名からの年賀状9通も残されている。元和9年(1623)の医方相伝書や室町時代の医師の系譜を書いた丹渓流相承之次第も同様なのだろう。
96.丹渓流相承之次第(医道系譜)
上野和子氏蔵
97.『孫真人玉函方』
上野和子氏蔵
98.三皇号
上野和子氏蔵
中国古代の伝説上の皇帝である「伏羲・神農・黄帝」を三皇という。伏羲は八卦をつくった易の創始者、神農は農業と医薬の神、黄帝は文字や音律をつくったとされる皇帝で医学の始祖ともされる。