昭和23年に調査された館山市稲原貝塚から、イルカの骨にささった黒曜石製の銛先が出土している。黒曜石は、利器を製作する材料に適しており、その刃部の鋭利さは他の石材を優越する。産地は限られ、信州の和田峠、伊豆の箱根・天城、神津島などがよく知られている。安房地方の13遺跡で出土した19点の黒曜石の産地同定を行った結果、18店が神津島産であることがわかった。安房と神津島は黒曜石という物質で結ばれていたことの一端がうかがえる。
黒曜石のささったイルカの骨(館山市稲原貝塚) 縄文時代
(原品 慶応義塾大学蔵)