安房の古代祭祀に使われた土製模造品は、勾玉、丸玉、有紐鏡、有孔円板に手づくね土器が加わる例が最も多い。これらの祭祀遺物は、後世につくられた神社に近い位置で多くが発見されているが、なかには、山腹や低湿地などに一括廃棄されたと思われるものがある。沼つとるば遺跡は後者の代表例で、鈴鏡、有孔円板、勾玉、鐸などの土製模造品などが、谷の中腹から出土した。これらの遺物は、7世紀代に行われた安房忌部氏の「まつり」に関係したもので、鈴鏡、鐸などの音に関係した模造品は、「まつり」の内容を示すものだと考えられる。
土製鐸(館山市沼つとるば遺跡) 古墳時代
個人蔵
土製模造品 有孔円板・有紐鏡・丸玉・勾玉 (館山市猿田遺跡) 古墳時代
当館蔵