加茂遺跡は、縄文時代では珍しい低湿地遺跡で、遺跡のできた縄文時代前期には湖沼となっていたらしい。昭和23年の発掘調査によって、アシなどの水性植物の層が確認され、泥炭化した土のなかからは、オニグルミやクリの木などの植物種子、丸木舟や丸木弓などの木製遺物が出土した。植物質の遺物は、酸性土壌ではすぐ腐るが、水中や水分の多い土中ではよく保存され、この点に低湿地遺跡の特性と重要性がある。
縄文時代の土層に含まれていた多くの花粉を分析した結果、針葉樹はモミ、マキなど、常緑性広葉樹はアデラ、クリ、シイ、マテバシイ、アカガシ、アラカシなどで、現在の林相とほとんど変わらないと報告されている。