サンゴと貝塚

 縄文時代の人びとが、豊富な海の幸によって生活を支えられていたことを証明する貝塚のなかには、現在の海岸線からは遠く離れ、標高の高い山中にあるものがある。館山市の稲原貝塚はこの代表例で、標高40mの高所に位置している。これは縄文海進による現象で、この時代には館山平野の奥深く、標高30m近くまで湾が入り込んでいた。このことは、館山市沼の「沼サンゴ層」が、標高25mの高所に位置し、現在の館山湾の海水温より高温の海水域に生育するサンゴであることにもよっても証明される。

沼サンゴ遠景

沼サンゴ遠景

安房における主要貝塚と縄文海進時の海岸想定線
安房における主要貝塚と縄文海進時の海岸想定線