山の幸をもとめて

 10,000年ほど前になると、長かった氷河期は終わりを告げ、気温が上がりはじめたことによって、海水面はどんどん上昇し、それまでの陸地の奥深くまで海水が浸入していった。

 そして多湿な気候に助けられ、それまでの草原地帯には、コナラ・クリ・ドングリなどの堅果を実らせる落葉樹林が広がっていった。これらは、いずれも良質なデンプンの塊である。また、それまでの主要な食糧源であった大型獣は急速に姿を消し、変わってシカ・イノシシなどが増えていった。

 恵まれた環境があっても、それを利用する方法を知らなければ生活の役には立たない。氷河期を生きぬいてきた人びとは、やがて、この好環境下の生態系を熟知し、それを最大限に利用する方法を身につけていったのである。

磨石と石皿(館山市千田遺跡) 縄文時代

磨石と石皿(館山市千田遺跡) 縄文時代
当館蔵

磨製石斧・打製石斧(富浦町深名瀬畠遺跡) 縄文時代

磨製石斧・打製石斧(富浦町深名瀬畠遺跡) 縄文時代
富浦町教育委員会蔵