埴輪の分布は、ほぼ日本全国に広がり、なかでも関東地方や近畿地方に濃密な分布がみられる。千葉県も例外ではなく、特に下総では形象埴輪の出土が顕著である。
ところが、安房で埴輪が出土している古墳は、富山町恩田原古墳と丸山町永野台古墳のわずか二例だけである。
永野台古墳は、石堂寺近くの標高約60mの大地の突端にあり、眼下には丸山川とその流域の水田地帯が見渡せる絶好の地に位置している。大正12年に「鎌を持つ農夫」をかたどった埴輪が出土し、古墳の存在が知られるようになった。昭和54年の調査で、人物埴輪や円筒埴輪が出土し、5世紀後半代の2基の古墳が確認され、そのうちの1基は、全長25mほどの前方後円墳と推定される。
人物埴輪(丸山町永野台古墳) 古墳時代
円筒埴輪(丸山町永野台古墳) 古墳時代
ほりだされた管玉(丸山町永野台古墳)
(以上、朝夷地区教育委員会蔵)