御田植神事は、田の神を迎えてその年の豊作を願って行われる儀礼です。館山市大神宮(だいじんぐう)の安房神社では、昭和22年~23年頃まで、毎年6月23日に御田植祭が行われていました。神社の田の周囲に縄を張り、その年に嫁いできた新嫁が、編笠をかぶった早乙女(さおとめ)の装束(しょうぞく)を身につけ、歌にあわせて田植えをしました。終了の合図に太鼓が鳴り、そこではじめて氏子の家々では田植えをすることができたといいます。また館山市洲宮(すのみや)の洲宮神社では、現在も元旦の朝に御田植神事が行われています。
稲作文化の伝来とともに、豊かな稔りが人々にとって切実な願いとなったと考えると、日本の神まつりの原初的なかたちは、春〔予祝(よしゅく)〕と秋〔収穫祭〕二期のまつりが基本となったのではないでしょうか。