館ノ前(たてのまえ)、本館(ほんたて)、南台の3遺跡は標高10mほどの低湿地(ていしっち)にあります。館山湾にそそぐ汐入川(しおいりがわ)中流域に位置する大戸(おおと)は、枝状に開いた谷の入口にあり、これらの遺跡からは、土製の鏡形・勾玉(まがたま)形・丸玉形・有孔円板(ゆうこうえんばん)と手捏(てづくね)土器が出土していて、土製模造品のきわめて一般的なあり方を示しています。ところで、ここでの神まつりには不明な点があります。歴史地理学の成果から、祭祀(さいし)遺跡は地形変化を受けやすい場所にあるので、何らかの力によって二次的に堆積(たいせき)した可能性が高いという指摘がされている一方で、集落内のまつりであるという可能性もあります。はっきりとはしないのですが、上流には東長田・谷(やつ)遺跡などがありますので、この周辺地域で土製模造品のまつりが一般的であったことだけは確かです。
1=館ノ前 2=本館 3=南台
23.館山市大戸・館の前遺跡出土遺物
24.館山市大戸・本館遺跡出土遺物
(土製模造品)
25.館山市大戸・南台遺跡出土遺物
(以上、当館蔵)