古墳時代には多くの腕輪がつくられましたが、鈴付腕飾(すずつきうでかざり)や鈴釧(すずくしろ)もその一つです。『万葉集(まんようしゅう)』に詠まれたうたでは、腕輪は左手にはめられていたようです。
右の埴輪片をみると、鈴釧前後に玉が巻かれていますので、他の玉とともに使われたことが多かったのかもしれません。腕輪のかたちは鈴釧のように円状のものと、鈴付腕飾のように巻き貝の貝輪を模した楕円(だえん)形のものがあります。鈴鏡(れいきょう)と同様多くの場合鈴のなかに小石が入っていますので、ふると「カランカラン」という音がします。
館山市つとるば遺跡の土製五鈴釧は小さいので、腕にはめることは不可能です。人々はこの音の背景に、神を見たのでしょうか。
44.鈴釧をはめた埴輪片
長瀞綜合博物館蔵
45.鈴付腕飾(10鈴)(15)
伝埼玉県大里郡岡部町
東京国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/
46.六鈴釧(16)
神奈川県逗子市新宿海岸横穴
東京国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/
47.五鈴釧
木更津市大山台古墳群
㈶君津郡市文化財センター蔵